3.台地と人の交わり 3-1 遺跡 ヒトの誕生は300 200 万年前の猿人に始まり、50 万年前の原人、15 ~3万年前の旧人、 3万年前からの新人へと進化していった。各時代における生活の跡は、我々が住んでい る台地や低地の地下に眠っており、その痕跡を発掘することにより、当時の生活のよう すや文化を復元することができる。日本および東京における時代区分と主な歴史は表1 のとおりで,約 20 万年前から始まる先土器時代(旧石器時代)、その後に続く縄文・弥 生・古墳時代から現代へと長い時間の経過がある。 〈先土器時代〉 先土器時代とは、土器が使用される以前のことで、この年代がヨーロッパの旧石器時 代に相当することから「日本の旧石器時代」と呼ぶこともある。 先土器時代は、約20 万年前から約1万2千年前まで続き、日本では東京の多摩丘陵内 に分布する約5万年前の多摩ニータウン遺跡を最古とし、3万年前以降の遺跡が数多く 発見されている。 この時代は海面が低下したウルム氷期に当 たっており、そのため海峡は陸化あるいは狭 い水路化、日本海は湖化し、大陸と陸続きと なった日本へヒトがやってきたと考えられて いる。また、この時期の日本では、火山が活 発に活動していたため、関東平野には大量の 火山灰を降らせて関東ローム層を形成した。 このローム層の中に先土器時代の遺物が分布 しており、東京でも板橋区・茂呂 遺跡の発掘 をはじめ、続々と石器が発見されている。 13 表1 遺跡年表 11 図9 先土器時代の生活 10