図1は、このような気候・地殻変動による地形の変遷を示したものである。 a )は、約12 13 万年前の最終間氷期(リス-ウルム間氷期)で、船橋付近を中心と する関東構造盆地に砂層を主体とする下総層群(図2の成田層群、東京地域では東京 層・下末吉層)などの地層を堆積し、また、青梅付近を扇頂とする古多摩川による扇状 地や三角州が発達した。 b )は、約1.5 ~2万年前の最終氷期(ウルム氷期後期)で、現在よりも海水面が約 100 mも低下し、古東京湾は干上がり、古東京川や支流の古多摩川が台地を削っていた。 この(a )~(b )の約10 万年間に東京地方の台地は古多摩川の侵食・堆積作用によって、何 段もの段丘地形(台地面)が形作られた。 c )は、約6000 年前の後氷期で、いわゆる縄文海進の時代である。海進によりできた 奥東京湾には沖積層が堆積し、古多摩川がつくりだした洪積台地面には樹枝状の開析谷 (谷底低地)が発達し、腐植土などを堆積して(d )のような現在の地形に至っている。 このような地層の堆積環境を考慮して、地形面と地層(火山灰層・段丘層など)の関 係を整理したものが図2である。 2 図2 関東平野の地形と地層の編年表 2) 略号で書いた火山灰の名称と 噴出火山は次のとおり。 AT:姶良・丹沢火山(姶良カルデラ) TP:東京軽石(箱根新期カルデラ) OP:小原台軽石(箱根新期カルデラ) Pm-1 :御岳第1軽石(御岳) KmP-7 :親子軽石の一部(箱根新期外輪山) KmP-1 :親子軽石の一部(箱根新期外輪山) KlP-13 :ピンクパミス(箱根新期外輪山) KlP-6 :三色アイスの一部(箱根新期外輪山) TAm-5 :ウワバミ軽石(箱根古期カルデラ) o :ゴマシオ軽石(八ヶ岳) HBP:八王子黒雲母軽石 KP:鹿沼軽石(赤城山) HP:八崎軽石(榛名山) DKP:倉吉軽石(大山) o P:真岡軽石