る。検証のため、ウレタンゴムおよび石膏でできたダミー供試体を用い、一軸状態
でヒズミ量を測定した結果、LDT 、ストレインゲージとも縦・横ヒズミ量は同等で
あったほか、弾性係数、ポアソン比とも同様な結果を得たとしている。
【5】完全試料におけるせん断力と圧密降伏応力の関係例
(株)ジオ・コンサルタント 渡部 康明
筆者らの実験では三軸CU 試験による完全試料の原位置せん断強度(2 τ)と圧密
降伏応力(Pc )の間に、Pc=1.05 (2 τ)
1.05
(kN/ ㎡)の関係式を得ている。したがっ
て、標準圧密試験を実施すれば 現位置せん断強度が求まる可能性があり、全応力法
による安定計算などに寄与できるのではないかとしている。ただし、試験個数が少
ないため、今後のさらなるデータの蓄積が必要と結んでいる。
【6】X線回折による定量分析
ジオサイエンス(株) 新谷 加代
X 線回折の強度は、鉱物の含有量と相関関係があることから、厳密に定量的な評価
を行うことは困難なものの、ある程度の相対的な評価は可能としている。また、X 線
回折による定量法には、外部標準法(直説法)と内部標準法(間接法)があるが、
さらに簡易に行える半定量法もあり、既知含有量の標準鉱物の回折実験をもとに測
定試料の相対含有量(多量・中量・少量)が推定できると紹介している。
【7】岩石薄鑑定の現在と記載方法
ジオサイエンス(株) 井上 裕子
本来、岩石の分類は野外の産状を理解した上で行われるべきである。しかし、こ
のような情報がない場合、鑑定は客観的・汎用的な分類に基づいて行うべきである
が、依頼者に対してはより多くの情報を提供する必要もある。本報文は、特に依頼
需要が多い火山岩、深成岩、半深成岩、火砕岩、堆積岩について筆者らが用いてい
る鑑定内容の状況や分類基準などを紹介している。
【8】 関東ローム層の圧密降伏応力について
ツルミ技術(株) 高梨 文治
本報文は、関東ローム層の圧密試験を「水浸」、「非水浸」に分けて行い、「非水浸」
の場合が「水浸」と比べて圧密降伏応力(Pc )が1.1 ~1.6 倍程度となったとしている。
したがって、現段階で圧密試験を「水浸」条件で実施すると地盤を過小評価する可
能性があるため、工事計画や現場の地形・地質・地下水等の状況によっては「非水
浸」で圧密試験を行うことが合理的・経済的であるとしている。
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