庫~早稲田の32 系統を統合した12.2kmが荒川線(全線の約90 %が専用軌道)と名を改め、
存続されることとなった。荒川・北・豊島・新宿区内を走っている都電は、平成9年度
の乗降客が1日約6万1千人もあり、地域に密着した乗り物として親しまれている。
<都電荒川線沿線の地形>
荒川線沿線の地形は、荒川などの大河川によって形成された海抜2m程度の東京下町低
地と海抜25 ~30m 程度の台地に区分することができる(図8)。この台地は都内の西側に
広がる山の手と呼ばれる武蔵野台地(豊島台、本郷台)であり、石神井川、神田川など
の中小河川によって刻まれ、この河川沿いには小規模な谷底低地が形成されている。
三ノ輪橋を発車した都電は、王子駅前までの区間は三角州性の低地にあたるため、平
坦な地形上を走行する。王子駅前をすぎると急に地形が変化し、飛鳥山への上り口は急
坂となる。この坂は低地から台地への変換点であり、すぐわきに隅田川と石神井川の間
で起こった河川争奪によって生じた深い渓谷がみられる。
飛鳥山を過ぎ学習院下までは台地上を走行する。この区間は小河川により形成された
谷底低地を横断するため、緩い坂の上り下りの繰返しである。学習院下を過ぎると左に
大きくカーブして、終点の早稲田までの間は神田川の平坦な低地を走行する。この間、
都電が渡る橋は、神田川を渡る橋(写真3)と雑司ヶ谷~鬼子母神間の道路に架かる橋
である。
─8─
原図に一部加筆
凡例は図9を参照
図8 都電沿線の地形区分図
5)
写真3 サンシャインビルをバックに
神田川をわたる都電