③都立桜ヶ丘公園
桜ヶ丘公園は、万葉集に「多摩の横山」
11)
と歌われた多摩丘陵の北部(本自然公園の東
部)に位置し、多摩ニュータウンのオアシスともいえる公園である。またその名のとお
り桜の名所としても知られているが、雑木林がおりなす四季折々の風情にも格別ものが
ある。
園内の中ほどに旧多摩聖蹟記念館
がある。これは明治天皇が青年の頃、
兎狩や鮎漁のため数回この地を訪れ
たことを記念して建てられた、西洋
建築を取り入れた建物である
11)
。
またこの公園では「雑木林ボラン
ティア」制度
7)10)12)
(都創設;平成3
年)を導入しており、園内の一部を
利用して一般市民によって植生管理
が行われている。
<自然公園の動植物>
①植物
いずれの公園もほぼ全域にわたって深い雑木林におおわれており、訪れる人々の心を和
ましてくれる。そして春は花に、夏は緑に、秋は紅葉に彩られ、ハイカーの目を楽しま
せてもくれる。また雑木林の中、緩傾斜地に広がるお花畑(写真10 )には、春夏秋にお
いて多種多様な花が咲き乱れる。
②動物
鳥類については、公園内を散策する
だけで様々な野鳥の声を耳にするこ
とができる。獣類は驚くなかれ、 20
種ちかくの哺乳類が確認されている。
しかし近年の宅地化でタヌキ等の交
通事故死が目立っており、またリス
については、絶滅に瀕していると言
われている
13)
。
丘陵地(自然公園)の公園には、郷愁を誘う、土の独特のにおいや樹林帯の佇まいが残
されている。そしてコンクリート空間で生活する私達に、ひとときの安らぎを与えてく
れ、懐かしい風情を思い出させてくれる。この様な空間を、我々は大切に保護して後々
の世代まで残さなければならない。
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写真9 こもれびのもれる散策路
写真10 緩傾斜地に広がるお花畑