<多摩丘陵自然公園>
本自然公園は多摩丘陵北端部に位置しており、総面積は1,959ha を有している。
1)地形:公園内の標高は、おおむね80 ~200 m(最大比高差約100 m)程度である。公
園内の北側斜面は、スカートのひだのように、いく筋ものやせ尾根や深い谷
が発達する地形を成している。 沢の源頭部は急傾斜な地形を成しており、山
地部を思わせる景観を呈している。一方南側斜面は、高標高部は急傾斜地形
を成している所が多くみられるが、全体的には北側斜面よりも緩やかな地形
を成している。そして緩傾斜地では都市開発が進み、平坦な地形に改変され
ている箇所が多くみられる。
2)地質:上総層群の平山砂層が広く分布しており、その上位に御
ご
殿
てん
峠礫層がみられる。
公園内の東側では、平山砂層と御殿峠礫層との間に、三沢泥岩層(礫層と泥
岩層)または連光寺互層(礫・砂・粘土互層)を挟む。地表部はローム層
(多摩ローム)となっている(図5)。
3)湧水:粘性土層を不透水層としてあちこちで湧水がみられる。砂、礫層を浸透した
清らかな水が、訪れた人々の目にとまる。平山城址公園では、人工的な池
(猿渡りの池)に水を集め、憩いの場となっている(写真5)。また長沼公園
付近では、丘陵地の縁のあたる場所の小区域に田園風景がみられ(写真6)、
湧水が農業用水として利用されている。
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図5 多摩丘陵西部の縦断面図
5)
写真5 湧水を集めた猿渡りの池 写真6 丘陵地縁辺部にみられる田園風景