3-2 西岡酒造
<歴史>
八王子は、江戸時代、甲州街道の主要な宿場町として栄え、紬・紙・繰綿・麻・魚・
塩などの市がたち、商業の町としても活況を呈していました。また、昔から八王子や相
模原一帯は養蚕業が発達し、それをもとにした絹織物業がさかんで、現在の八王子織物
の基礎となっています。幕末から明治期には、絹の道が横浜まで引かれ、国家の主要な
輸出産業をになっていました。それが武相困民党の出現を準備し、自由民権運動の一大
争優事件として歴史の舞台に登場してきた町であります。
その八王子の中心部分、甲州街道に面して西岡酒造があります。西岡酒造は一昔前で
あれば「月丸」という名前よりも、「社会冠」の名前で親しまれていたお酒です。北村透
谷、須長漣造などが活躍した自由民権運動が盛んであった武相一帯の世相を反映して、
万民に愛されるお酒として、明治29 年(1896 )に世に出されました。もともとの創業は
天明元年(1781 )、西岡儀兵衛が近江の国より八王子に居を構え醸造業を創始したことに
始まり、ゆうに200 年を超える歴史をもっています。その後、蔵は昭和20 年(1945 )8月
の八王子大空襲により焼失してしまいましたが、その3年後には蔵人たちの努力で再建
され現在に至っています。現在の当主は7代目にあたり、田井二郎社長のもとで約6名
の社員が働いています。
<地形・地質と地下水>
西岡酒造は多摩川の支流である浅川が形成した沖積低地上に位置している。地質は沖
積の礫層が表部を 10 m程度覆い、その下位には上総層群大矢部層(南多摩層ともいう)
が分布し、基盤層は中世代白亜紀の砂岩や泥岩を主とする小仏層群である。
地下水は丹沢水系の鉄分が非常に少ない弱軟水であり、敷地内にある深さ15 mの古井
戸と100 mの新井戸の水を仕込みによって使い分けている。両井戸ともに上総層群大矢部
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写真9 西岡酒造 写真10 深さ15mの浅井戸