2.形成史と噴火活動 2-1.三宅島火山形成の概要 三宅島は直径約8km (陸上部のみ)を有する、ほぼ円錐形の山体から成る火山島で ある。主なる地形として、山頂部には中央火口丘(2000 年の噴火で崩壊)を有する大火 口があり、山腹部は南西斜面に古いカルデラ縁の地形を残す他はおおむね単一の円錐形 を成し、所々に火口列跡がみられる。そして海岸近くでは水蒸気爆発によって形成され た火口群が、主に東~南部にかけて凹状の地形を成して分布している。 <地 質> 三宅島付近に分布する基盤岩類は、地表部に露岩していないので明らかでないが、本 島に分布する火山砕屑岩中には、捕獲岩として変質安山岩質凝灰角礫岩、軽石凝灰岩、 輝石閃緑ひん岩、石英閃緑岩等が認められる。これらの岩は、伊豆半島に分布がみられ る新第三紀中新世の湯が島層群に類似したものであると考えられ、この付近の基盤岩で あると推定される。そしてこの基盤岩の上に、玄武岩質の溶岩または同質の火山砕屑物 (安山岩質はまれ)が互層上に重 なり合って円錐形の成層火山が形 成された。 <地形形成> ①成層火山 本島の大部分は主成層火山の山 体から構成される。内部構造は不 明であるが、本山体は山頂火口か ら大量の玄武岩質溶岩を流出し、 爆発的噴火で火山砕屑物を噴出 し、それが交互に堆積して成長し たものと推定される。 ②側火口と側火山 成層火山が成長した時期におい ても、多くの山腹噴火が生じ、斜 面には大小多数の水蒸気爆発によ って形成された爆裂火口(寄生火 山)が、また側火口群から噴出し て流下した溶岩流も多数みられ る。 ③カルデラ形成 7 図9 三宅島火山の地形概念図 7)