成層火山形成期と約2500 年前に大規模な噴火があり、山頂部が陥没してカルデラが生
じた。成層火山形成期のカルデラの輪郭は定かではないが、南~西側斜面にその名残が
あり、直径は2~4km程度であったものと想定される(以上、図9参照)。
2-2.三宅島の形成と噴火史
三宅島は前述したように、新第三紀中新世の基盤岩上に形成された火山島である。
ではいったい、いつ頃から山体形成の活動が始まり、どの様な噴火活動を経て今日みら
れるような地形が形成されていったのかを、いくつかの活動期に区分して示した。
<後期更新世:成層火山とカルデラの形成>
三宅島火山の活動は、後期更新世頃より海底から噴火をはじめ、火山砕屑物と溶岩が
繰り返し噴出し、これらが交互に堆積したことによって円錐形の成層火山が形成された。
詳細な噴火年代は、噴出物の露出がごく限られているため不明であるが、主成層火山体
の大部分は、南西斜面にみられるカルデラ(図9参照)の形成も含め、約1万年前まで
には出来ていたものと推定される。
<大船戸期:島北西部での火山活動>
この時期の噴出物は、北から北西部の海食崖に露出しており、数枚の溶岩と火山砕屑
物が互層状を成している。またいくつかのスコリア丘や大船戸湾内で起こった噴火によ
る火山砕屑物等がみられる。主に北西部の成層火山体上部の形成および先カルデラの埋
積に関与した活動期に相当すると考えられる。大船戸期の年代は、火山砕屑物層の上位
に鬼界アカホヤ火山灰(約6300 年前の噴出物と推定されている)があることが確認され
ていることから、7000 ~8000 年前と推定される。
なお4000 ~7000 年前は、相当する噴出物が見つかっておらず、休止期にあったもの
と考えられる。
<坪田期:安山岩質の火山活動>
この時期の噴出物は、島の南部の海食崖と北西部の海食崖に露出している。安山岩質
の噴出物が多いのが特徴的である。島の南部には水蒸気爆発で形成された爆裂火口がい
くつかみられ、北西部では溶岩および火山砕屑物の堆積状況が海食崖でよくみられる。
坪田期の年代は、本噴出物層中の試料(炭化木や腐植土壌)を年代測定した結果から、
おおよそ3000 ~4000 年前と推定される。
<雄山期:カルデラ形成と雄山の成長>
約2500 年前のカルデラ形成に伴う大噴火にはじまり、 12 世紀半ばまでの雄山(山頂部)
が成長していく時期に相当する。
①八丁平(山頂)噴火とカルデラ形成
本火山活動では、まず先カルデラの中心付近と南へ伸びる噴火割れ目から大量のスコ
リアおよび同質の火山灰が噴出し、この後割れ目噴火はさらに南へ伸び、マールの形成
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