に火山灰は砂サイズの粒子を多く含むイメージがある。多量の火山灰が降り積もり、台
地地形を形成したことで有名な姶良シラスの細粒分含有率は20% を下回る。そのため、
シラス台地は非常に水はけのよいことで知られ、サツマイモなどの根茎栽培がさかんで
ある。一方、三宅島火山灰は細粒分を多く含むため非常に水はけが悪い。火山灰を緩や
かに詰めたときの透過水量は1時間に5㎜、24 時間で51 ㎜であり、密に詰めた状態では
1時間に1㎜、24 時間では23 ㎜しか水が透過しない
20)
。従って、多量の火山灰の混入は
排水性の極端な低下をもたらすことから、現状のままでは農作用の土壌としての適正に
難点があり改良や除去の課題を有している。
また、乾燥状態での最大密度は 1.634g/cm
3
であり、豊浦標準砂の最大乾燥密度
(1.646g/cm
3
)とほぼ同程度の値を示す。さらに、火山灰も一般的な土同様に含水状態
により締固め特性が変化することから、含水量の変化に伴う密度の変化を試験した結果、
含水比が4.8%のとき最大乾燥密度は2.156g/cm
3
と最も大きな値を示すことが判った。
5-2.火山灰の有効利用の可能性
<ガラス製品
23)
>
東京都産業労働局の産業技術研究所では、平成12 年10 月から三宅島火山灰の有効利用
を目指して、調査・分析・研究を行なってきた。その成果として、火山灰を利用した三
宅ガラス(仮称)の開発に成功した。これは三宅島火山灰10 %程度をガラス原料に添加
することによりマリンブルーのガラスの製造技術を開発したものであり、3種類のガラ
ス製品(モール付グラス、小鉢、一口グラス)を試作した(写真17 )。
このガラスは、クリアな青色で熱線
(赤外線)と紫外線のカット作用があ
るという特徴がある。また、三宅島火
山灰に含まれる硫酸カルシウムにより
製造過程において泡切剤を使用しなく
ても泡を排出できることが判明してい
る。
今回試作した三宅ガラス(仮称)は
市販のガラス製品と同等の品質であ
り、特徴であるマリンブルーの色は三
宅島の美しい海の色をイメージさせる
-29-
表11 火山灰の地盤工学的特性
22)
土粒子の密度
粒度組成(%)
均等係数 塑性指数 最大乾燥密度
g/cm
3
細粒分 砂分 礫分
Uc Ip ρd
max
g/cm
3
三宅島火山灰 2.87-2.94 60.5 30.6 8.9 10.2 4.0 1.634
写真17 三宅島火山灰を使ったグラス