発刊にあたって
社団法人東京都地質調査業協会は、都民生活における安全の向上及び環境の
保全を図るため、地質調査の普及並びに技術の向上に努めることによって、社
会に貢献することを目的として活動しております。
「技術ノート」は、一般の方々に地質とその調査の重要性及び社会生活との
関わりを知っていただくために、昭和62年12月より発刊しております。
今回発刊する「技術ノート33号」は、雄山の火山活動により全島民が今も
なお島外避難を余儀なくされている状況にある「三宅島」について、火山噴火
のメカニズムや火山ガスの危険性及び三宅島の災害の状況や復旧作業の進捗状
況などを取り上げ、火山災害の実体を広く一般の方々に知っていただきたく、
東京都災害対策部及び三宅支庁はじめ多くの関係部署、ボランティアの方々の
取材協力と貴重な資料提供をもとに作成いたしました。
火山が数多く存在する日本では、火山による災害は他人事ではすまされませ
ん。私事になりますが、高校生の頃、三宅島の三池浜にキャンプで訪れ、1962
年の噴火で出来た露天の温泉に浸かったこと、大路池の畔の神秘的な美しさ、
島の人たちの優しさなどを思い出します。
火山は確かに怖い存在ですが、温泉などの憩いの場、その周りには自然の美
しさを人々に与えてくれます。
一刻も早い火山活動の収束と自然とともに生きる三宅島の人々の生活が取り
戻せるよう衷心よりお祈り申し上げますとともに、この「技術ノート」により
多くの方々に三宅島の現状を知っていただき、復旧のご支援の一助となるよう
期待してやみません。
平成13年8月
社団法人東京都地質調査業協会
会長 大 越 良 裕