1.はじめに
美しい海と緑豊かな自然に囲まれた‘火山島’三宅島は、2000 年7月約17 年ぶりに噴
火した。今回の技術ノートは、火山噴火という地学現象やその後の全島民の避難生活、
そして、島の復旧作業の現状など様々な問題を抱える三宅島について特集する。
1-1.位置と歴史
三宅島は東京から南方約180kmの
太平洋上に位置している。島の人
口は3829 人(2000 年9月1日)、面
積は55.5km
2
、噴火前の最高地点は
雄山(標高 813.9m )で海底からの
比高約1300mの成層火山である。
島名の由来については諸説ある
が、三宅島最古の書物「三島大明神
縁起」によれば家が三つ並んだ形に
似ているから三宅島と命名された
と言われている
2)
。
昭和9年以降の遺跡の発掘調査
により縄文式土器・弥生式土器等
の破片が多数発見された。それら
が三宅島の火山灰土から造られた
ものではないこと、また、三宅島
での生息記録のない猪や鹿の骨な
ども土器と一緒に発掘されたこと
により、遥か昔の縄文時代から島
外との交流があったことが推定さ
れている。三宅島は流人の島とし
ても知られ、養老3年(719 )多
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が三宅島へ流され
て以来、明治時代初期までに送られた流人は約2300 人とも言われている
2)
。また、第二
次世界大戦末期には空襲が増えたために、大部分の島民が本土へ疎開している。
現在は、恵まれた自然環境を生かした観光産業が島の中心産業となっている。海水浴
やダイビング、バードウォッチング、磯釣りなどの好適地も多く、特産物としてはカツ
オやイセエビ等の鮮魚、キヌサヤやアシタバ等の農産物、クサヤ等が有名である。
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図1 三宅島の位置図
1)