<開削工法> 地下施設を作る最も一般的な工法で、駅部などの大きな構造物を作る場合に採用され る。まず、掘った穴の形状を保ち、土砂崩れや地下水の浸水を防ぐための防護壁(土留 め壁)を必要な深さまで施工する。次にその杭に路面を受けるための桁をかけ、覆工板 でふたをして交通に支障のないようにする。その後、掘削を開始し、埋設管を厳重に保 護しながら必要深さまで掘削し、駅舎などの地下構造物を築造し、施設完成後、穴を埋 め戻し、道路を元どおり復旧して完成する。大江戸線では、ほとんどの駅部および高松 車庫、木場車庫の建設で、この工法が採用された。 <シールド工法> 東京の地下には上下水道、ガス、電気、電話などの施設が縦横無尽に張り巡らされて いるほか、ビルの基礎や他の地下鉄が走っていて、浅いところは利用しつくされている。 従って、一番最近工事を行った大江戸線は、他の地下鉄に比べ深いところを走っている。 このような深いところにトンネルを掘る場合、地上から掘り下げる開削工法では、掘削 量が大きくなり効率的でないため、地中をモグラのように掘り進む工法が考えられる。 しかし、東京の低地のように地下水がある軟らかい土の中にトンネルを掘っても、直ぐ に崩れてしまう。そこで、トンネルの断面に見合う円筒形の筒で土が崩れるのを防ぎ、 筒の全面にたくさんの刃をつけた円盤(カッターヘッド)を取り付け、それを土に押し つけ回転させ、削り取った土を後ろから排出しながら前進する工法が考え出された。こ れがシールド工法である。シールド機が掘り進んだ後は、鉄製または鉄筋コンクリート 製の「セグメント」という、組立式の円筒形の筒を構築し、トンネル空間を支えている。 シールド機はセグメントにジャッキを取り付け、このジャッキを伸ばすことで、1 分間 1 3 ㎝の速度で前進する。この時、速度が速すぎて掘削前面(切り羽)の抵抗が大き くなると、シールド機自体が回転してしまう。これを防止するために掘進速度(掘削量) はシールド機の重量とバランスを取るなど、精密な施工管理が求められる工法である。 3 図2 開削工法概略図 1)