定の深さに箱を沈めた後、人工島の撤去および函内の水の排出を行い完成する。
大江戸線では、木場車庫への入出庫線が仙台堀川を横断する箇所で、この工法が採用
されている。
<アンダーピニング工法(下受け工法)>
ビルの下にトンネルを掘るとき基礎杭が障害となる場合や地下鉄駅の下にトンネルを
掘るときなど、既存の構造物に影響を与えないように工事を行うとき、この工法が用い
られる。
まず、開削工事に必要な土留め壁および既存の構造物を支える杭を打設する。次に構
造物を受ける桁やスラブをこの杭に固定し、この桁やスラブと構造物の間にジャッキを
挟み仮受けしながら、ビルの杭などを撤去してトンネルを構築する。次に新しく構築し
たトンネルと既存の構造物の間にコンクリートを充填して受け替えて完成する。
大江戸線では、営業中の地下鉄と交差する大門駅、上野御徒町駅、飯田橋駅などで、
この工法が採用されている。
1-3.大江戸線の防災対策と防災施設
「もし、大地震が起きたとき、大江戸線は大丈夫なのでしょうか?」 「火災や大雨
の対策は万全なのでしょうか?」
大江戸線では万一の災害時に設備の状況把握や緊急対応がとれるように防災設備監視
システムが設置され、このシステムにより各駅で駅設備の一元管理をしている。列車に
は漏洩同軸ケーブル(LCX)を全線に使用した列車無線システム(空間波無線方式)に
より、非常時にも通信手段が確保されている。これらの対策や設備の他にも、旅客案内
装置(案内放送や案内表示)やラジオ再送信システムなどにより、災害時にも情報をき
め細かく提供できるようになっている。
では、個々の災害に対して乗客の安全を確保するために、どのような対策がとられてい
るのか、火災、浸水、地震災害に対しての備えを紹介してみる。
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図5 アンダーピニング工法概念図