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4.災害に対する対策
4-1 高潮・液状化等の臨海部の防災
(1)臨海部の自然災害
臨海部で発生する自然災害には、台風などの低気圧と波浪による高潮、地震による海
岸設備への震害、津波の発生、液状化による構造物の損傷、護岸の決壊による水害など
がある(図14参照)。
図14 臨海部の自然災害
高 潮
①台風などの気圧低下により海面が上昇、1hPaで約
1cm上昇する。また、②海水が風で陸側に吹き寄せ
られて波が高くなる。水深が浅い場合高潮が発生し
やすい。また、台風の進路右側にあたると強風にな
り、大きな高潮となる。特に満潮時には注意が必要
である。過去名古屋地方を襲った伊勢湾台風では干
潮面+5.0mと驚異的な高さとなった。
津 波
海域で起きた地震によって、海底の隆起、陥没、地
すべりなどによる海底面の変動が海面に凹凸を発生
させ、波として周囲に広がり、伝播していく現象。
マグニチュードが大きく、震源が浅いほど大きな津
波が発生し、水深が深いほど津波の速度は速い。ま
た、水深が浅くなる箇所やV字型の湾では、津波の
高さは急激に大きくなる
震害と液状化
埋立て地や沖積平野では緩い砂層が堆積しているこ
とが多いが、地震によってこの砂の粒子が揺動を受
けると粒子間のかみ合わせが破壊され、砂粒子と地
下水の混じった状態となる。これを地盤の液状化現
象と呼ぶ。もし、このような地盤に構造物が据え付
けられていると、転倒することになり、杭基礎であ
れば杭が水中にあるのと同じ状態となるため設備に
大きな障害が発生する原因となる。また、海岸付近
は軟弱地盤地帯が多いが、このような場所では地下
から伝わる地震の波が増幅されて大きな揺れとなる。
地震水害
堤防などの陸地への浸水を防御していた設備が液状
化や地震の揺れで破壊され、沈下や倒壊が生じると、
海水が陸地に浸入し、水害が発生する。平地部に津
波が発生した場合、津波の高さが1m減少するのに
約1kmも海岸線から浸入が必要と言われ、家屋は浸
水高2mで全壊、1mで半壊程度の被害を受けると
されている他、浸入水が引く時に大きな被害をもた
らす。また、河川では陸上部に比べ、津波が早く遡
上するので、思わぬ場所で被害が発生することがあ
る。