18 感することはできない。ちなみに西 武デパートの地下に連絡通路がない のは、A館とB館の間の地下に宇田 川が流れているからであり、半蔵門 線の駅付近では地下の壁を隔てて渋 谷川が流れているはずである。地上 に川の姿は見当たらなくなったが、 豪雨時に渋谷駅ハチ公前のスクラン ブル交差点が冠水しているテレビ映 像がよく流れる。その時には、渋谷 駅が川の真ん中に立地していること を思い出して欲しい。 図18の通り、谷底に位置する渋谷 駅からは坂道(道玄坂、宮益坂、金 王坂等)が多く存在する。起伏に富 んだ渋谷周辺には、「谷、泉、坂、台、 山、丘」といった地名が並んでおり、 これらを自分の足でゆっくりと散策 するのも楽しい。しかし、地形を よく表した地名のいくつかが町域変 更・合併の際に消えたことは残念で ある。地名の保存については、5章 で詳しく述べる。 渋谷駅周辺の散策コースを紹介す る。渋谷駅から宮益坂を登って行く と、坂の中腹、左手側に御嶽神社が ある。ここはその昔、社拝殿を明治 天皇の休憩場所として利用されたと のことである。坂道の途中に立地し ているためか、鳥居と階段の参道と社殿の位置関係、神社とタイル張りのビルが融合し た何とも不思議な空間なのである。坂を登っている途中、後ろを振り返って眺めてみる と、目線よりも低いところに山手線のガードが見えるほど標高が高い(写真13)。坂を 登り切ると、国道246号線の金王坂と合流する。金王坂の由来は、町名変更に伴い「金 王町」が消えるのを惜しんだことによる。 図18 渋谷周辺の地形陰影図 11)に加筆 代々木八幡 新宿御苑 探索ルート 東京メトロ銀座線、 宮益坂 写真13 宮益坂からの渋谷駅方面を望む 目線よりも低いところを山手線が走る 山手線のガード→