1 1.はじめに 普段、われわれが何気なく使っている地名には、様々な由来のあるものが多い。 たとえば、東京(都心の代名詞?)は、明治維新の際、徳川支配であった江戸由来の イメージを払拭させる意味で、大久保利通によりそれまでの首都である京都に対する東 の都(京都)として、東京の名称が誕生した。東京という名称も明治時代の東京府から 東京市、さらには東京都として改名されながら現在に至ることで、時代毎の意味(地名 ~首都~都会などのイメージ)を変化させている。 また、東京23区名も、東京府、東京市を経て、東京都として現在の行政区分に落ち着 くまで、合併を繰り返したためか、代表町名(品川区:大崎町、大井町、品川町の合併) としたものや、新たに改名(中央区:日本橋区・京橋区の合併,大田区:大森区・蒲田 区の一字をとった)されたものなど様々である。江戸末期から東京都の区名の変遷をた どると以下の通りである。 <東京23区の変遷> 慶応 3~4 年 :大政奉還→ 王政復古の大号令 江戸を東京に改称、江戸府を 東京府に変更 明治2年 版籍奉還、明治 4年 廃藩置県(3府72県) 明治6年 西暦採用  明治11年 東京府15区6郡 注)多摩郡は4郡(西、南、北は 神奈川管轄) 明治22年 東京市誕生(15 区、明治31年には東京府下の 1市になる) 昭和7年 府 下 の 5 郡82 町村を東京市に編入し20区増 設35区に(品川、目黒、荏原、 大森、蒲田、世田谷、渋谷、 淀橋、中野、杉並、豊島、滝 野川、荒川、王子、板橋、足立、 向島、城東、葛飾、江戸川) 図1 東京の区割りの変遷 1)