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る。5~6千年前の海面上昇最盛期には「奥東京湾」と呼ばれる海が現在の関東平野の
内陸部(茨城県古河市付近まで)にまで至っていた。これは関東一円に分布する貝塚の
跡地により想定することができる。その後、数千年間は海面の低下により古東京川等の
河川による運搬土砂によって奥東京湾は次第に陸化し、現在の東京低地の原形が形成さ
れた(図2)。
(2)東京低地の地質
東京低地において地質的に軟弱地盤と呼ばれている地層は、約2万年前から堆積した
有楽町層、七号地層からなる沖積層が相当する。沖積層が堆積している埋没谷(海面低
下時に古東京川等が沖積層下部の東京層や江戸川層を削り取って作った谷に、その後の
海面上昇時(海進)に新しい地層が堆積して埋めたものである)の主部は、足立、葛館、
江東区にかけて分布し、谷底の幅は約1~2㎞と広く、谷を埋めている沖積層厚は70m前
後と厚い(図2)。有楽町層はゆるい砂を主体とする上部層と均質な粘土を主体とする
下部層からなる。七号地層は砂・粘土互層また砂質粘土などの中間土で構成される。
2-3 武蔵野台地の地形
3)
東京西部に位置する武蔵野台地
は、東側を東京低地、南側を多摩
川、北側を荒川と入間川の低地
で仕切られる東西約50km、南北
20kmにわたる大きな台地である。
この台地は青梅付近を頂点とし
て、東西に細長く延びた扇状に広
がっている。その標高は緩やかに
変化しており、青梅付近で180m
程度、台地東端の低地との境界付
近で20m程度である。この台地は
いくつかの段丘面で構成され、そ
の中で最も古い時代の台地は、現
在の新宿区、港区、目黒区、品川
区一帯を占める淀橋台・荏原台で
あり、下末吉面に相当する。両台
は他の台地と比べて台地の中の谷の密度が高く起伏に富んでいることが地形的特徴で
ある。武蔵野面に相当する台地は、豊島台・成増台・朝霞台(以上はM1面)、本郷台・
目黒台・久が原台(以上はM2面)、中台面(M3面)のように細分されている(図3)。
図3 武蔵野台地東部の地形区分と谷地形
3)