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(3)湧水のある公園
武蔵野台地にはかつて湧水が多くみられ、それを利用した「湧水のある公園」が存在
する。武蔵野台地の湧水は2タイプに分けられる。一つは国分寺崖線や府中崖線沿いの湧
水に代表される崖線タイプの湧水である。もう一つは井の頭池や善福寺池などの谷頭タイ
プの湧水である。崖線タイプの湧水として世田谷区立大蔵三丁目公園について紹介する。
①世田谷区立大蔵三丁目公園(No.31号)
湧水地点は、武蔵野台地から仙川の沖積低地へ下る急な崖の中腹にあり、武蔵野ロー
ム直下の武蔵野礫層から水が湧き出している。湧水は小さな池を造り小川となって仙川
に流出しさらに野川と合流して多摩川へと流れている。この地点は国分寺崖線の東端に
あたり、付近には成城三丁目児童遊園の湧水など、崖線沿いに多くの湧水が残っている。
(4)川辺の公園
東京の河川は都市化に伴い水量の減少・水質の悪化や、洪水対策等のコンクリートに
よる護岸工事により自然にふれあうことが出来なくなった。しかし近年、護岸の改修や
水質の改善につとめ、川辺では自然とふれあえる箇所もふえ、魚も住めるようになって
きた。このような中、自然と親しめる川辺の公園が増えてきた。「日本の都市の公園百選」
に選ばれた北区立音無親水公園について紹介する。
①北区立音無親水公園(No.31号)
JR京浜東北線王子駅のすぐ西側の武
蔵野台地の縁に位置する。江戸時代この
付近は音無渓谷と呼ばれ、安藤広重の
「名所江戸百景」にも描かれている(図
36)。川では子供たちが安心して水遊び
できるように、浄水と地下水の循環を利
用して水を美しくたもつ工夫がなされ
ている。夏休みには水遊びする子供たち
の賑やかな声が絶えない(写真41)。
写真39 公園の湧水(大蔵三丁目公園) 写真40 湧水下の池(大蔵三丁目公園)
図36 王子音無川堰
安藤広重「名所江戸百景」
写真41 再現
された権現の滝