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<寄席の殿堂:鈴本演芸場>
上野の鈴本演芸場は、日本にある寄席の中で
最高の格式と権威、知名度を持つ。出演者は社団
法人落語協会所属の芸人である。古くから「娯楽
の殿堂」の頂点として芸界に君臨してきた。日本
に数軒ある寄席のなかでも、文句なしの代表とみ
なされており、落語家の晴れ舞台である真打襲名
披露は、必ずここからからスタートする。
上野の繁華街一等地、中央通りに面するとい
う最高の立地にあり、一階入り口にある切符売
り場の上が太鼓櫓になっている。 エレベーター
が一基しかなく、芸人と客が共用するた
め芸人と客の動線が同じとなり、エレベ
ーターで客と芸人が鉢合わせすることも
ある。売店で販売する寿司「志の多寿司」
は当地名物。 前座は、開演前に呼び出
し太鼓、終演後に追い出し太鼓を叩くの
だが、その姿を生でみることができる。
(2)歌舞伎
8)9)
<歌舞伎のはじまり>
慶長8年(1603)に北野天満宮で興行を行い、京都で評判となった出雲阿国が歌舞
写真16 志の多寿司
写真15 鈴本演芸場
【寄席で用いられる道具・用語】
高座(板) :寄席の舞台の事。
上下(かみしも、上手、下手) :客席から見て右が上手、左が下手。
めくり:高座の下手に出演者の名前を書いた紙の札の事。
出囃子:落語家、漫才師等が高座に上がる際にかかる、音楽。上方が発祥。
下座(お囃子) :出囃子を演奏する人。
捥ぎり:入り口でチケットの半券を切る人。
席亭:寄席の運営者や経営者の事。
割:一日毎の客の入りと演者の格に応じて支払われる給金。