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のような地層まで井戸を掘削することにより熱水を取出すことが可能となる。
<地熱蒸気による発電>
地熱貯留層の中の高温高圧の熱水は、井戸(生産井)に入って圧力が下がると、沸
騰して蒸気となる。この蒸気を気水分離器を通して水分を除去した後(約170℃、
0.69MPa)、蒸気タービンに送り、発電機を回して電気を起こす。タービンを回した蒸
気は約40℃となり、復水器の中で冷却水により凝縮され、同じ温度の温水となる。
また、地熱蒸気中には火山性ガスが含まれるが、硫化水素除去設備により硫化水素を
取除いたうえで、大気に排出されている。
<地熱の2次利用>
発電所は、周辺の温室団地へ12月~ 3月の間、暖房用の温水を供給している。熱源は
タービンを回した蒸気を復水器により凝縮した約40℃の温水で、熱交換器により温め
られた農業用水が各温室へ供給される。地熱蒸気の熱は、発電・暖房と無駄なく利用さ
れている。
<地熱は次世代のエネルギー>
地熱発電は、太陽光や風力、波力などと同じく、自然の恵みを電気エネルギーに変え
るもので、石炭・石油等の化石エネルギーを使用しないため、二酸化炭素をほとんど排
出せず、環境保護の面でも大きなメリットを持っている。大地の限りないパワーを活か
す半永久的なエネルギーである。東京都にもこんなエネルギーがあったとは目から鱗で
ある。
図17 地熱発電の仕組み
20)
タービン:蒸気噴射で回転
サイレンサー
生産井
発電機
復水器
冷却塔
温水槽
気水分離器
還元井
マグマ溜まり
電力供給