28 とする地方自治体が協力し、漏洩地下水を有効に利用しようという機運が高まっている。 JR武蔵野線国分寺トンネルでは、都市化の進展により流域湧水が減少・枯渇し冬季 には水流が途絶えていた多摩川支流の野川に湧水を放流している。放流にともなう導水 路等の建設費用は、下水道費用が軽減される鉄道事業者が負担し延長1,180mの導水管 を2002年に完成させ、2000㎥ /日のトンネル湧水を放流している。放流先は地方自治体 の意向から、昔からあった「姿見の池」の復活を考慮し、まずこの池に放流され、そこ から野川に排水される。この事業により、姿見の池と野川の再生を実現している。 図26 国分寺トンネルにおける湧水の有効利用 30) 東北新幹線上野トンネルでは、湧水の一部を不忍池に放流している。不忍池は河川と は接続しておらず水の交換がないことから水質は必ずしも良くない状態であり、東京都 では様々な設備を池に設置して水質浄化に取り組んでいた。放流の為の管路設備は延長 3.2㎞に及ぶが、建設費用は国分寺トンネルと同様に下水道費用が軽減される鉄道事業 者が負担し2003年よりトンネル湧水を放流している。トンネル内地下水の水質は極め て良好であり、不忍池の水質改善効果に寄与することが期待されている。なお、不忍池 は容量が限られていることから、導入した地下水がオーバーフローし下水道に流下した 分については、鉄道事業者が下水道費用を負担することになっている。 図27 上野トンネルにおける湧水の有効利用 30)