2 一方、イランはカナートの国といわれるが、その数はおおむね3~5万本といわれて いる。その規模は全長70㎞、縦坑が最深部で300mに達するのも珍しくないようである が、標準的な規模としては、深さ40m、全長5~ 10㎞程度である。水路が地表に出る 場所には、耕地や集落のあるオアシスが形成されている。耕地では小麦、大麦に加え乾 燥に強いナツメヤシ、近年では綿花やサトウキビなどの商品作物の栽培が行われてい る。 (2)カッパドキア トルコのカッパドキアは、標高1,000mを 超えるアナトリア高原中央部に、100㎢近 くにわたって岩石地帯が広がる台地です。 キノコや煙突のような形の奇岩が林立し、 巨岩がそびえる景観はまさに自然の驚異で す。この不思議な風景は、柔らかい地層と 硬い地層が重なり合い侵食されて生み出さ れました。3世紀半ば、ローマ帝国の弾圧 を逃れたキリスト教の修道士たちが、カッ パドキアに移り住みました。彼らは柔らか い岩をくり抜いて住居や教会を作りまし た。12世紀に作られた洞窟教会には、光が ささないため当時のフレスコ画がそのまま 残っています。キリスト教徒たちはこの地 でペルシャやイスラム勢力に包囲され、絶 えず脅威にさらされていました。そのため 彼らは敵から一時的に身を隠す場所を地下に求めま した。1965年に発見された地下都市は地下8階、深 さ65mにおよぶ巨大なものです。 (3)クロアカ・マキシマ(写真4) クロアカ・マキシマ(Cloaca Maxima)は、古代 ローマの下水システムです。もともとは大都市ロー マの問題だった湿地帯から排水するためのもので、 すぐそばを流れるテヴェレ川に廃水していた。その 名称は「最大の下水」を意味する。伝承によれば、 紀元前600年ごろ王政ローマの王タルクィニウス・プ リスクスが建設させた。 写真2 カッパドキアの外形 3) 写真3 カッパドキアの地下空間 3) 写真4 地下の下水施設 4)