11 下水位の上昇が認められており、地下駅設計時の昭和40年(1965)頃はGL-35mであ った地下水位が、昭和63年(1988)にはGL-15m付近まで上昇していました。このた め、地下駅では、深層地下水位の上昇が駅躯体に与える影響を検討したところ、駅躯体 の浮き上がりよりも地下水の揚圧力による下床版の損傷がクリティカルであることが 判明し、駅中央部の70m区間が最も厳しく、その平衡水位はGL-14.3mでした。そこで、 下床版の補強と地下駅の浮き上がり対策を実施しました。平成11年(1999)9月には、 浮上防止策として、ホーム階に鉄製おもりを置いたりしましたが、十分ではないことか ら対策工を検討し、施工性、経済性に優れる永久グランドアンカーによる対策を実施し ました。永久グランドアンカーの施工は、上野地下駅での施工技術を活用して地下駅の 必要対策延長160m区間を設定し、グランド アンカー 70本を平成11年(1999)から平成 12年(2000)にかけて施工しました。この対 策による効果は、平衡水位(GL-14.3m)に 対し1.5mの上昇に対するものであり、GL- 12.8mまでの水位上昇には対応できます。現 在も地下駅周辺に観測井戸を設置し、地下水 位の変動を監視しています。 その後、地下ホーム の湧出地下水をそのま ま下水に流すと下水道 料金が課金されるた め、支払い料金を軽減 したいJR東日本と、 典型的な都市型中小河 川で通常は水量が少な く悪臭などを発生する 立会川の問題を解決し たい東京都がお互いに 合意し、東京駅から品 川区の立会川まで導水管が敷設されました。東京駅から立会川上流部までの導水管建設 費用をJRが負担する代わりに、湧出地下水を立会川に放水することで下水料金負担が なくなり、結果として水量の増加と悪臭の発生防止が図れるという仕組みです。 同様な事例では、上野駅新幹線地下ホームの湧出地下水が不忍池への導水管により放 流されています。 図9総武快速線東京地下駅断面図 6) 図8 総武快速線東京地下駅平面図 6)