23 5.中央線沿線の地形・地質 中央線は東京都をほぼ東西に結ぶ鉄道の大動脈です。中央線は、東京都の東西方向の 代表的な地形に沿って走っていると言っても過言ではありません。 東京の主な地形概要は、海面変動や多摩川扇状地に影響を受け、奥多摩方面の関東山 地から東西方向に東京湾に向かって順次階段状に高度を下げ、丘陵地~台地~低地と移 行しています。東京都をほぼ東西に貫く、中央線沿いの地形も、西から、山地部、丘陵 地(一部段丘、谷底低地含む)、台地部、低地部と大きく大別され、それに伴い地質構 成も順次変化することになります。(図12参照) 本章では、中央線沿線の地形・地質と題し、中央線沿いに分布する地形や地質の概要 について、地形・地質的特徴の観点から、概ね該当する駅区間毎に順次紹介します。 5-1 山地部を構成する地形・地質(主に高尾駅以西:A) 中央線沿線でこの地区に該当するのは、主に「高尾駅」以西です。山地部を形成する 関東山地は、関東地方の西部にあり、群馬・埼玉・東京・神奈川・長野・山梨の都県に またがっています。東京都西部の山地帯は、標高500 ~ 2000mの険しい山地が連なり、 谷は深くV字型に切れ込み、俗にV字谷と呼ばれる谷地形を形成しています。山地部で ある奥多摩地区の地質は、主に、秩父帯と四万十帯と呼ばれる中生代の古い地層からな ります。中生代とは、地質学的には今から約2億4500万年~ 6500万年前の約2億年間を 指しますが、恐竜が最も繁栄した時代と言ったほうがわかり易いかもしれません。この 内、高尾駅以西には主に四万十帯が分布し、非常に硬い頁岩や砂岩互層からなる岩盤で 形成されています。(図13参照) 図13 奥多摩地域の地質区分 19)