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3-2 千代田区の防災対策
千代田区は、首都東京の中心に位置し、政治・経済機能が集積している地域にありま
す。そのため、住宅地は極めて少なく、夜間人口が約4万人であるのに対して、昼間人
口はその19倍の約86万人にもなります。このように千代田区は、周辺区や他県から通勤・
通学者や買い物客などが多く訪れる特徴を有しています。
こうした千代田区の地域特性を考えたとき、地震や風水害の自然災害だけでなく、近
年発生している大規模な事故やテロなどの人為的災害にも対応した総合的な防災を区
民、事業者、行政が一体となって進めていくことが求められます。
防災の基本理念として、従来、自分の生
命財産は自分で守る「自助」、自分たちの
まちは自分たちで守る「共助」、自助、共
助を支える行政の支援としての「公助」の
3つがあります。
このうち、共助とは、町内会や地縁等の
伝統的な地域コミュニティによる助け合
いをさします。しかし、千代田区のよう
に住居と企業・事業所が混在し、昼間人
口が夜間人口の約19倍に達する都市では、従来の「共助」では十分な災害対策は期待
できません。そこで千代田区独自の理念として、事業者や帰宅困難者等を含めた全ての
人々が相互に助け合い、支え合う、「協助」を新たに加えました。
千代田区は、この3つの助け合いを防災の基
本理念として、さらなる減災のため防災力の向
上に努めていこうとしています。
また、PFI方式による避難誘導案内板整備事
業が多くの自治体で採用されていますが、千代
田区もこれを積極的に取り入れています。被災
時の避難所等を記した防災機能と、区内のまち
や名所を分かりやすく案内した観光機能を併
せ持つ「総合防災案内板」(写真15)を各所に
設置して、昼間、区を訪れる多くの人々にも、
災害への迅速・機動的な対応が可能なよう、そ
の存在を広く知ってもらい、万一に備えていま
す。現在、その数は約150にも及んでいます。
自助
公助
共助
協助
図11 千代田区の防災基本理念
写真15 総合防災案内板