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を踏襲した比例構造をもっています。また、建物内外の細部装飾まで丁寧に造られてお
り、建物の魅力を一層高めています。建物は、鉄骨鉄筋コンクリート造で地上8階、地
下1階で重要文化財に登録され、東京の建築遺産50選にも選ばれています。
(10)国会議事堂
所 在 地:永田町1丁目7-1
アクセス:丸の内線国会議事堂前駅徒歩1分
国会議事堂は、国会が開催される建物で、昭和11年(1936)に帝国議会議事堂とし
て建設されました(写真5)。建物は、地上3階・地下1階で、正面中央に高さ65.45m
の塔屋がそびえ、正面に向かって左側に衆議院、右側に参議院の議場が配置され、左右
対称に構成されています。建設にあたっては、八幡製鉄所の鉄骨材をはじめ、山口県黒
髪島や広島県倉橋島の花崗岩、宮古島の大理石が用いられ、西洋の様式建築を基本に建
てられています。
(11)江戸の名水「櫻の井」(写真26)
所 在 地:永田町1丁目1
アクセス:有楽町線桜田門駅徒歩3分
「櫻の井」は名水井戸として知られた「江戸の名所」で、近江・彦根藩井伊家上屋敷
の表門外西側にありました。元々は加藤清正邸跡(都旧跡)で、清正が掘ったと伝えら
れています。縦約1.8メートル、横約3メートルの石垣で組んだ3連式釣瓶井戸で、3
本の釣瓶を下ろして一度に桶3杯の水が汲めました。幕末当時、江戸城を訪れる通行人
がこの豊富な水を汲んでいる風景が歌川(安藤)広重の「東都名所」の「外櫻田弁慶
櫻の井」(天保14年(1843))にも描かれています(図17)。大正7年(1918)史跡に定
められ、東京都は昭和30年(1955)に旧跡に指定しました。その後、昭和43年(1968)
道路工事のため、交差点内から原形のまま10メートル離れた現在地に移設復元されま
した。
写真26 江戸の名水「櫻の井」 図17 「外櫻田弁慶櫻の井」の浮世絵
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