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日本では、天然ガスを採取しているガス田以外でも天然ガスが湧き出している場所が
多くあります。関東平野では多くの場所で上ガスの湧出が見られます。表3に示すよう
に温泉を掘削している最中に天然ガスが噴出して火災が発生した例や、知らない間に天
然ガスが室内に充満していて爆発事故が起こった例も報告されています。
油田や天然ガス供給施設などで火災や爆発事故が発生すると非常に深刻な事態を招
きます。これを防止するために様々な対策がとられています。
しかし、世界的に見て事故は少なくなってきてはいますが、根絶するまでには至って
いません。
下記より東京都で発生した幾つかの災害を報告します。また、表4に南関東ガス田及
びその周辺の災害事例と対策例を示します。
(1)シールドトンネルのメタンガス爆発事故
シールド工法によりトンネルを掘削中、トンネルの先端部より急激に噴き出した天然
ガスに引火し爆発した。
① 発生日:平成5年(1993)2月
② 場所:東京都江東区
③ 概要:地下34m、坑口から1,300mの位置でシールドトンネル掘進中に、地中か
ら湧出したメタンガスが何かの火源により爆発して、掘進作業中の作業員
4名が死亡し、1名が負傷した。
④ 原因:メタンガスを含む地層は存在しないとして施工されていた。
地質調査によりメタンガスの存在を確認できなかった。
換気量が少なく、メタンガスに対応できなかった。
定置式検知器の警報部分が作業員に知らせることのできる切羽付近でなく、
坑外事務所に設置されていた。
定置式検知器の記録が初めて動いていて、メタンガスの湧出を示していた
のに何の措置も講じられなかった。
測定器によるメタンガスの測定が行われていなかった
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。
(2)温泉掘削現場火災事故
温泉掘削現場で天然ガスが噴出し火災が発生した。
① 発生日:平成17年(2005)2月
② 場所:東京都北区
③ 概要:温泉掘削現場(深度1,500m)においてケーシング内の洗浄作業を行っている
最中に、ケーシング内より地下水及び泥水と一緒に天然ガスが噴出。近くの