21 5.ガス調査の方法と評価 5-1 目的 前章で紹介したように、事故防止の観点から地中ガス調査の役割・重要性は非常に高 いものであり、事故防止の検討資料としてこの情報は欠くことができません。地中ガスに はメタンガスだけでなく一酸化炭素・二酸化炭素等の水溶性のガスも混合しています。こ れらのガスが地下水に溶存している量やガス成分の濃度比・圧力・ガス湧出量を明らかに することが地中ガス調査の主目的です。地中ガス調査結果よりガスの危険性・ガス溜まり 等について適切に評価・判断することによりガス対策検討に役立てることができます。 (1)対象となるガス成分と評価 地中ガスは酸素・窒素・メタン・二酸化炭素・一酸化炭素・硫化水素の6成分で構成 されています。一般に表5に示すようなガスの特性値が示されています。 表5 ガスの特性値 23) ガスの種類 ガスの特性 予想される 障害等 比重 色・臭気等 爆発限界(Vol%) 下限 上限 メタン(CH 4 0.55 無色・無臭 5.0 15.0 爆発 一酸化炭素(CO) 0.97 無色・無臭 12.5 74.0 中毒・爆発 二酸化炭素(CO 2 1.53 無色・無臭 酸素欠乏症・中毒 硫化水素(H 2 S) 1.199 無色・腐卵臭 中毒 酸素欠乏空気(O 2 1.11 無色・無臭 酸素欠乏症 *N 2 : 大気の約78%を占める。窒素自体は有毒・有害ガスではない。 5-2 調査の手順 地中ガス調査の一般的な手順を図21に示 します。まず、地中ガス調査を実施するか どうかは、当該地における地盤状況を確認 する必要があります。都内では有楽町層下 部、七号地層、埋没段丘礫層、江戸川礫層 等が分布する江東区、江戸川区を中心とし た地域内であるか等の情報を収集します。 この段階でガス調査の必要性の有無等につ いて判断することになります。ガス調査を 行うとした場合には綿密な調査計画を立て 調査を実施し結果の評価を行い対策検討に 役立ていくこととなります。 資料等調査 ・当該地における地中ガスの情報収集等 ガス賦存の可能性有り/ガスに対して 不安である 地中ガス調査計画 ・資料等調査の見直しや再調査 ・表層ガス調査、ボーリング本数の計画 ・地中ガス調査の対象層の選定 ボーリング孔等による 地中ガス調査の実施 ・表層ガス調査 ・ボーリング孔による地中ガス調査 地中ガスの危険度評価 ・地中ガスの危険度評価 対策工の検討 図21 地中ガス調査手順 8)