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5.ガス調査の方法と評価
5-1 目的
前章で紹介したように、事故防止の観点から地中ガス調査の役割・重要性は非常に高
いものであり、事故防止の検討資料としてこの情報は欠くことができません。地中ガスに
はメタンガスだけでなく一酸化炭素・二酸化炭素等の水溶性のガスも混合しています。こ
れらのガスが地下水に溶存している量やガス成分の濃度比・圧力・ガス湧出量を明らかに
することが地中ガス調査の主目的です。地中ガス調査結果よりガスの危険性・ガス溜まり
等について適切に評価・判断することによりガス対策検討に役立てることができます。
(1)対象となるガス成分と評価
地中ガスは酸素・窒素・メタン・二酸化炭素・一酸化炭素・硫化水素の6成分で構成
されています。一般に表5に示すようなガスの特性値が示されています。
表5 ガスの特性値
23)
ガスの種類
ガスの特性
予想される
障害等
比重 色・臭気等
爆発限界(Vol%)
下限 上限
メタン(CH
4
) 0.55 無色・無臭 5.0 15.0 爆発
一酸化炭素(CO) 0.97 無色・無臭 12.5 74.0 中毒・爆発
二酸化炭素(CO
2
) 1.53 無色・無臭 - - 酸素欠乏症・中毒
硫化水素(H
2
S) 1.199 無色・腐卵臭 - - 中毒
酸素欠乏空気(O
2
) 1.11 無色・無臭 - - 酸素欠乏症
*N
2
: 大気の約78%を占める。窒素自体は有毒・有害ガスではない。
5-2 調査の手順
地中ガス調査の一般的な手順を図21に示
します。まず、地中ガス調査を実施するか
どうかは、当該地における地盤状況を確認
する必要があります。都内では有楽町層下
部、七号地層、埋没段丘礫層、江戸川礫層
等が分布する江東区、江戸川区を中心とし
た地域内であるか等の情報を収集します。
この段階でガス調査の必要性の有無等につ
いて判断することになります。ガス調査を
行うとした場合には綿密な調査計画を立て
調査を実施し結果の評価を行い対策検討に
役立ていくこととなります。
資料等調査
・当該地における地中ガスの情報収集等
ガス賦存の可能性有り/ガスに対して
不安である
地中ガス調査計画
・資料等調査の見直しや再調査
・表層ガス調査、ボーリング本数の計画
・地中ガス調査の対象層の選定
ボーリング孔等による
地中ガス調査の実施
・表層ガス調査
・ボーリング孔による地中ガス調査
地中ガスの危険度評価
・地中ガスの危険度評価
対策工の検討
図21 地中ガス調査手順
8)