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2.荒川沿いの地形、地質と地盤特性
2-1 地形概要
図5は、関東地方の地形区分と名称及び荒川の位置を示しています。荒川は、埼玉県
西部に広がる関東山地の甲武信ヶ岳に源流
7)
をもち、秩父盆地、長瀞渓谷、荒川扇状地、
荒川低地及び東京低地を流れて東京湾に注いでいます。
荒川上流に位置する埼玉県の地形を概観すると、西側には関東山地、東側には関東平
野があります。また、地形区分は、関東山地、同山地内の秩父盆地、同山地東縁沿いの
丘陵群、標高10 ~ 70mの台地及び河川沿いの低地に分類されます。
関東山地は、上武山地、外秩父山地及び奥秩父山地からなり、最西部の甲武信ヶ岳の
2,000級の峰が西から東へほぼ同じ高さで連なっています。また、甲武信ヶ岳は、埼玉県、
山梨県、長野県の三県が境を接し、日本百名山の一つになっています。
秩父盆地は、関東山地の北
東部に東西約13km、南北約
10kmのほぼ正方形の凹地か
らなり、盆地内には丘陵及び
河成段丘が良好に発達してい
ます。また、周囲には、奥秩
父山地、上武山地、外秩父山
地が分布しています。このう
ち奥秩父山地は、2,000m級
の峰が連なり、地形的には急
峻で谷の発達がよく、険しい
山稜と深いV字谷を特徴とし
ています。また、上武山地と
外秩父山地は、1,000m級以下の低い山地からなり、山地縁辺部には幅3 ~ 5km、頂部
標高のそろった谷密度の高い丘陵群が発達しています。
丘陵地は、利根川や荒川、多摩川などの河川により分断され、関東山地の北東から東
縁沿いに半島状または残丘状に残存しています。埼玉県内では北から児玉丘陵、松久丘
陵、比企丘陵、岩殿丘陵、毛呂山丘陵、高麗丘陵、加治丘陵及び狭山丘陵が分布し、こ
れらの丘陵は、頂面高度や構成層の違いから、北と南の丘陵群に分かれます。各丘陵は、
平坦な頂面をもっていますが、関東山地に接する西側の方が東側に比べて高くなってい
ます。また、北側の丘陵が南側の丘陵に比べて頂面高度が低くなる傾向にあります。こ
れは、北側の丘陵が、加須低地を中心とする関東造盆地運動によって相対的に沈降した
ためと考えられています。
荒川
図5 関東地方の地形区分と名称
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