18 2-3 地盤特性 沖積平野である関東平野特に東京低地は、大都会東京が位置し非常に多くの人々の生 活の場であることが軟弱地盤の重要性を更に増しています。軟弱地盤は、地盤の変形性・ 支持力不足これらによる地盤沈下・地震への脆弱性が都市に重大な影響を及ぼします。 (1)軟弱地盤等の沈下について 軟弱地盤である沖積層の分布状況を図 18に示します。沖積層が厚く埋積してい る埋没谷の主部は、足立・葛飾・江東の 三区にかけて分布し埋没谷の幅は、約1 ~2kmもあり沖積層の厚さは60m前後 で低地全域に広く分布しています。軟弱 地盤の判定目安としては、対象となる構 造物例えば、高速道路・鉄道・宅造など により若干異なりますが有楽町層下部の 粘土質地盤ではN値3~4、有楽町層上 部で代表される砂質土地盤では、N値10以下が目安です。また、弾性波速度の横波(Vs) は、粘性土層でおおむねVs=140m/s、砂質土層でVs=170m/s前後の値としています。 地盤沈下等に係わる圧密特性(Pc:圧 密降伏応力、e:間隙比)を比較すると 両者に明らかな違いが見られます。図19 には両土層の代表的なe-logP曲線を示しま す。有楽町層(上部3曲線)は七号地層(下 部3曲線)より過圧密状態での間隙比が e=2前後にあるのに対し七号地層はe=1.2 前後にあり、圧縮指数Cc(未圧密状態で のe-logP曲線の傾き)も有楽町層が大きい ことがわかります。 このことが地盤に有 効応力が増すと間隙比の相対的に大きな 有楽町層では特に大きな沈下が生じる原 因となり軟弱地盤といわれる所以です。同 様に、深い70m級の井戸から大量に地下水を汲み上げると洪積層以深の比較的硬い地層も収 縮し沈下を始めることが観測記録より明らかになっています。これらの広域沈下は、昭和47 年(1972)以降の深層地下水の過剰汲み上げの諸規制により現在はほぼ停止状態にあります。 図18 東京低地における沖積層の厚さ (基盤の深さ) 17) 図19 有楽町層と七号地層の圧密特性 18) Pc Cc 過圧密領域 未圧密領域