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1.はじめに
1-1 荒川の概要
荒川は、埼玉県、山梨県、長野県の三県が接し、富士川水系・信濃川水系を分かつ埼玉
県秩父山地の甲武信ヶ岳(標高2,475m)にその源流を発しています。山岳地帯には、中
津川・滝川・大洞川等の各支川が深いV字型渓谷を形成し、それらの支流をあわせ秩父山
地の水を集めながら秩父盆地まで東に流れています。そして、秩父盆地から長瀞渓谷まで
北流し、その後東に流れを変え大里郡寄居町において南東方向に流向を変え関東平野に注
ぎこみます。その後、武蔵野台地の北西端から埼玉県中央部の平野を流下し、熊谷市で南
南東に向きを変え、川越市で入間川等の支川を合わせ、下流部の東京都区部と埼玉県の都
県境の低地を流れ、東京都北区志茂の新岩淵水門で隅田川を分派し、本川は延長22km、
幅0.5kmの荒川放水路として、江東区と江戸川区の区境を経て東京湾に注いでいます。荒
川は、荒川水系(一級水系)の本流で一級河川に指定され、埼玉県や東京都を流下し、
流域に住む人々の生活に密接に関係している河川です。その諸元は、表1に示すように、
流域延長173km、流域面積2,940km
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で、特に川幅は、埼玉県鴻巣市吉見町付近の御成橋
付近で最大2,537mとなり、日本最大級の川幅となっています。流域内の平地面積は50%、
平地部での流路延長は約100kmを占め、日本の河川の中では比較的平地部の多い河川で、
支川は水系内127河川のうち22河川が左支川で、大部分が右支川となっているのが特徴で
す。流域内の土地利用は、山地面積約43%、農地面積約18%、宅地市街地等面積約28%と
なっています
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。その流域は、東京都と埼玉県にまたがり、79市区町村(20区40市18町1
村:平成18年6月現在)
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からなり、流域内人口は、日本の総人口の約14分の1に相当する
約930万人で、そのほとんどが、中下流部の丘陵、台地、沖積低地に集中しています。流
域内全域の人口密度は3,100人/km
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ですが、特に人口が密集している東京都内の沿川の人
口密度は約12,900人/km
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と全国一級水系中最も高い数値となっています。
表1 荒川の概要
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項 目 諸 元 備 考
水系 一級水系荒川
種別 一級河川
水源 甲武信ヶ岳
水源標高 2,475m
幹川流路延長 173km
流域面積 2,940km
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埼玉県:2,440km
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東京都:500km
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最大川幅 2,537m 御成橋付近(埼玉県鴻巣市吉見町付近)
流域市町村
20区40市18町1村
(平成18年6月現在)
東京都:20区13市1町
埼玉県:27市17町1村
流域内人口 930万人 河川現況 平成14年3月
(基準年 平成7年度) 流域内人口密度 3,100人/km
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浸水想定区域内人口 540万人
支川数 127河川