9 表 4 建築基礎構造設計規準・同解説等における基礎の支持層と調査深さ 図書名 [改定年]・出版 出版年 基礎の支持層(または支持地盤) 地質調査における調査深さの目安 建築基礎構造設 計規準・同解説 [1960] ・日本建築学会 1960 A基準の場合 (※構造物が高層で比較的大規模の場合、その 重量が大きい場合、特に軟弱に建つ場合、あるい は重要な構造物である場合に適用する。例えば建 物面積800㎡以上、地上5階以上、地下2階以上、 または軒高15m以上の耐火建築物、高さ5m以上 の擁壁などに該当する。) 基礎は、良質な地盤に支持させることを原則と する。ただし、特別な場合においては軟弱地盤の 支持にたよることができる。 A基準(厳密な土質調査に基く基礎構造設計 規準)の場合 調査深度は、状態により予想される最大の 基礎スラブの短辺長さの2倍以上または建物 幅の1.5 ~ 2倍とする。ただし、くいまたはピ ア基礎の場合はくい先端またはピア底面から 測る。この深度内に基盤が存在する場合には 調査深度は基盤までとする。基礎が深い場合 は少なくとも1点においては基盤まで調査す ることが望ましい。 建築基礎構造設 計規準・同解説 [1974] ・日本建築学会 1974 ある地層がくい支持層となりうるかどうかは、 建物規模、その他の地盤条件などを考慮して経験 的に判断すればよいが、中高層程度の建物では次 の値が参考となる。 N値≧その層の深さ(m)+20 厚さ(m)≧1/10×その層の深さ(m)+2 または N値×厚さ(m)≧(その層の深さ(m)+20)× 1/10×(その層の深さ(m)+2) この場合のN値は N値≧その層の深さ(m)、N値>50ののときは N値=50 として計算する。 この値は中高層の建物を対象に示したものであ るから、低層および超高層建物に対しては修正の 必要があることはもちろんである。 調査深度は、直接基礎では建物幅の1.5 ~ 2 倍とする。調査深度内に硬い層があり、その 下に沈下の原因となりそうな粘土が存在しな いことがわかっているときは、その層を基盤 と考え、それより深くまで調査する必要はな い。支持ぐいでは、一般に支持層は洪積層ま たはそれより古い地層であるから、その下部 に建物荷重により有害な沈下を生じるような 地層が存在することが少なく、くい先端下部 5 ~ 10mまで調査すれば十分なことが多い。 また、沖積層で建物を支持させる場合には沖 積粘性土全層について調査するのが望まし い。 建築基礎構造設 計指針 [1988] ・日本建築学会 1988 基礎の支持地盤としては、基礎を含め建築物を 構造耐力上安全に支持し得る地盤を選定する。 支持地盤の選定においては、支持地盤=基盤層 という固定した考えのみを原則とすることなく、 土質工学や基礎工学の技術的な知見を十分に活用 し、建物に見合った合理的な支持地盤を選定する ように努める。さらに、過去の経験と資料を十分 調査したうえで、下部の軟弱層が支持力・沈下量 に与える影響を吟味して、支持地盤とみなすこと の当否を判断しなければならない。 よく締まった砂層や砂礫層などの砂質土層とか 硬質な粘性土層、あるいは岩盤などのいわゆる基 盤層を支持層とするのは、確実で簡明な選定の代 表例である。 調査深さは、直接基礎では建物幅の1.5 ~ 2 倍とする。調査深さ内に硬い層があり、その 下に沈下の原因となりそうな粘性土層が存在 しないことがわかっているときは、その層を 基盤と考え、それより深くまで調査する必要 はない。支持杭では、一般にその支持層は洪 積層またはそれより古い地層であるから、そ の下部に建物荷重により有害な沈下を生じる ような地層が存在することが少なく、杭先端 下部5 ~ 10mまで調査すれば十分なことが多 い。また、沖積層に建物を支持させる場合に は、沖積粘性土全層について調査するのが望 ましい。 建築基礎構造設 計指針 [2001] ・日本建築学会 2001 支持地盤や基礎の選定にあたっては、要求性能 を満足する組み合わせを抽出し、その構造性能の ほか、施工性や経済性等に関する比較検討を行っ たうえで、最も合理的な基礎形式を選定する。 調査として必要な深さは、建物の重要性あ るいは基礎形式によっても若干異なる。直接 基礎の場合は、基礎幅の1 ~ 2倍の範囲は目 安として必要であろう。杭基礎の場合は、支 持杭であれば杭先端からさらに深く杭径の数 倍のところまで調査が必要となる。 建築基礎設計 のための地盤 調査計画指針 [2009] ・日本建築学会 2009 支持地盤や基礎の選定にあたっては、要求性能 を満足する組み合わせを抽出し、その構造性能の ほか、施工性や経済性等に関する比較検討を行っ たうえで、最も合理的な基礎形式を選定する。 支持層の目安は砂質土、礫質土ではN値50(ま たは60)以上、粘性土では20 ~ 30以上とするこ とが多いが、地盤条件や建物の要求性能、想定さ れる複数の基礎形式を勘案して設計者が適切に判 断する。 直接基礎の場合は、支持層として想定され る地層が確認される深さまで。ただし、以深 に沈下の原因となる地層が現れることが想定 される場合は当該層の有無が確認できる深さ まで。事前に地層構成の想定ができない場合 は、べた基礎スラブ短辺長さの2倍以上また は建物幅の1.5 ~ 2倍程度が目安となる。 杭基礎の場合は、沖積層全層かつ支持層と して想定される地層が5~10m以上確認で きる深さまで。支持杭の場合は、杭先端深さ より杭先端径の数倍の深さまで。ただし、以 深に軟質な層が現れることが想定される場合 は、当該層の有無が確認できる深さまで。 地震応答解析を行う場合は、工学的基盤(せ ん断弾性波速度Vsが400m/s以上)を5 ~ 10m以上確認できる深さまで。