31 ・側圧 地下構造物に作用する側圧の算定には、土の単位体積重量、水圧、土のせん断強さが 必要となり、これらを求めるために湿潤密度試験、地下水位観測、標準貫入試験及び一 軸圧縮試験、三軸圧縮試験等を実施します。 ・地盤と建物の地震時応答 地盤と建物の地震時応答を検討するにあたっては、地盤内を伝播する弾性波速度(P 波速度、S波速度)や工学的基盤及び地盤の動的変形特性、振動特性などが必要になりま す。PS検層は、弾性波速度(P波速度Vp、S波速度Vs)の測定や工学的基盤の設定の ために実施します。また、繰返し三軸試験、繰返しねじりせん断試験は、地盤の動的変形 特性を求めるために実施します。常時微動測定は、地盤の振動特性(卓越周期、増幅特性 など)を求めるために実施し、地盤種別の判定や模擬地震動の作成に利用します。さらに、 地震基盤を求めるためには、微動アレイ探査を実施することがあります。微動アレイ探査 は、同心円上に受振器を正三角形で並べ半径が広がるとより地下深部のS波速度がわかり ます。地震基盤のS波速度Vsは3000m/s程度と考えられています(図33参照)。 <杭基礎>  ・支持層の選定 支持層の選定にあたっては、地層分布とN値が判断資料となり、特に重要です。地層分 布とN値の測定には、標準貫入試験を併用したボーリング調査を実施し、地層の構成を明 らかにします。標準貫入試験は、最も基本的な原位置試験であり、ほぼあらゆる地盤定数 値に換算できます。ただし、N値のみで推定するのは誤差が大きく実態と差異があります。 特に超高層建物では、その誤差が建設費に大きくかかわってきますので、精度のよい調査 試験を適切に実施する必要があります。ボーリングの調査深さは、表4に示しています。 ・杭の鉛直支持力 杭の鉛直支持力は、杭の先端支持力と周面摩擦力からなり(鉛直支持力=先端支持力 +周面摩擦力)、直接確認する場合は杭の載荷試験があります。一方、支持力算定式か ら求める場合は、砂質土層では標準貫入試験のN値、粘性土層では一軸圧縮試験、三軸 圧縮試験から求めた粘着力より算出します。 ・負の摩擦力 軟弱な粘性土層で圧密沈下が発生している地盤沈下地帯では、杭の下方に作用する負の 摩擦力の検討を行う必要があります。負の摩擦力は、中立点より上方の杭の周長と地層の N値又は粘着力、層厚により求まります。なお、軟弱な粘性土層の圧密沈下が終了してい るかどうかを判断するために、圧密試験で求まる圧密降伏応力での評価が必要になります。 ・杭の水平抵抗力 杭の水平抵抗力は、地盤の変形係数を用いて算出されます。