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海面は1cm上昇するといわれています。例えば、
気 圧 が990hPaの 場 合 は、1,013hPa-990hPa=
23hPaより、海面上昇量は23cmとなります(1
気圧=1,013hPa)。
②風による吹き寄せ
台風の中心は、周囲に比べて気圧が低くなって
います。風は気圧の高いところから低いところに
向かって吹きますので、この風が沖から海岸に向
かって吹くと、海水が海岸に向かって吹き寄せら
れる「吹き寄せ効果」により、海岸付近の海面が
上昇します。吹き寄せによる海面上昇は、風速の
2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍
になります。また、水深が浅いほど、風の吹き寄せ
作用がよく働き、高潮が発達しやすくなります。
図5に示すように東京は、東京湾の最奥部に位置
しているために、吹き寄せられた海水の逃げ道がな
く、高潮の影響を受けやすい地形となっています。
●A.P.とT.P.
潮位を表わすには、基準となる高さが必要となりますが、東京都では水門の閉鎖基準とし
て「A.P.(エー .ピー)」という高さを表す数値を使用しています。中央区新川に霊岸島水位
観測所というA.P.の基準地があり、この観測所の最干潮面をA.P.±0(ゼロ)mとしています。
A.P.とは、Arakawa Peil(荒川工事基準面)の頭文字をとっています。なお、標高
などに使用されている基準面は「T.P.(ティー.ピー)」東京湾平均海面(Tokyo Peil)
という高さを表す数値を使用しています。
T.P.は明治6年 (1873) から明治12年 (1879) までの潮位記録を平均してT.P.±0m
としており、標高の基準である水準原点(千代田区永田町)はT.P.+24.3900mと測量法
で定められています。A.P.とT.P.の関係は次の通りです。【A.P.+1.1344m=T.P.±0m】
①吸い上げ
②吹き寄せ
図 4 高波の仕組み
4)
図 5 東京都と東京湾の位置関係
5)
図 6 A.P. と T.P. の関係
6)
吹き寄せられた海水の逃
げ道がないため、高潮の
影響を受けやすい
風による吹き寄せ