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(3)新小平駅、東京駅、上野駅の地下水対策
平成3年10月、武蔵野線の新小平駅は、台風21号の大雨の影響で最大1.3m隆起し、さ
らに土砂の混じった地下水が噴出して、駅構内及び周辺が冠水するという災害が発生し
ました。この災害により武蔵野線は約2か月間寸断され、JR東日本の被害額は約35億円
に達しました。
その後、同様の災害を引き起こさないよう、各地で調査が行われました。その結果、
東京駅、上野駅で地下水位の上昇によって同様の災害がおきる可能性が示唆され、それ
ぞれの駅で対策が講じられました。
上野駅ではプラットフォーム下の下床版に3万トンの鉄板を敷き詰めて浮力に対抗す
る方法がとられました。なお、それらの鉄板は、必要に応じて追加することが可能です。
また、平常時には東北新幹線上野駅周辺のトンネルから湧出している地下水が不忍池ま
で導水されて水質の浄化に用いられ、さらに緊急時には揚水井で地下水位の調整を図る
ことができます。
東京駅では地中にワイヤーを束ねた線でおもりを吊り下げる永久グラウンドアンカー
70本が設置されました。これは1本あたり100トンの浮力に対抗することができ、のちに
上野駅にも設置されました。また、地下ホームに上野駅と同様に地下水の湧出がありま
したが、これらは立会川に導水され河川水量の増加と悪臭の抑制に用いられています。
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図14 上野駅と東京駅における地下水位上昇対策概略図