- 3 - (2)水循環と地下水のかん養 地球上の水は、海水や河川の水として常に同じ場所に留まっているのではなく、太陽 のエネルギーによって海水や地表面の水が蒸発し、上空で雲になり、やがて雨や雪にな って地表面に降り、それが次第に集まり川となって海に至るというように、絶えず循環 しています。地下水は、降った雨が地中に浸透し貯留されて存在し、地下水も同じよう に循環しています。地下水がどのように供給され人間社会にかかわっているのか、東京 都内の場合を模式図で表します(図2)。降雨の一部は地表面を流れて川や海へ出て行 きますが、これを「表面流出」と呼びます。しかし、東京23 区内では都市化により、 道路舗装やビル等の建築物で水が浸透する土地が少ないため、下水道管を通じて川や海 に流れ込む直接流出が多いです。地表面から地下に浸透した水の一部は、直接蒸発また は植物を通じて蒸散していくものがあり、これらを合わせて「蒸発散」と呼びます。表 面流出も蒸発散もせずに地下に浸透した水は、地下水となります。これを「地下水かん 養」と呼んでいます。地下水は、湧水となり河川へ流れ出ていく場合もありますが、ほ とんどの地下水は地中に貯留され、長い年月をかけて移動していきます。 ( ) 上水道及び工業用水道 浄水場 下水処理場 自然水の流れ 工場 事務所 家庭 蒸発散 地下水 湧水 直接流出 地表面(浸透域・不浸透域) ( ) 図2 水の供給模式図(東京都の場合) 2) 1-2 地形地質と賦存形態 (1)東京都の地形 東京都の地形は、西から東へ標高2千~数百mの山地、続いて、標高350 ~ 55m程度 の丘陵地、標高50 ~8m程度の台地(武蔵野台地)、標高約8m以下の低地(東京低地) が分布します。東京低地には地盤沈下により海面以下となった、いわゆる“ゼロメート ル地帯”と呼ばれている箇所が23区の面積(621km 2 )の約2割を占めています。 都内には多数の河川が流れ、最大河川は、山梨県の山地部(関東山地)を水源とする 多摩川であり、都内を東南方向に東京湾に向かって流れています。多摩川の伏流水(河