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(2)水循環と地下水のかん養
地球上の水は、海水や河川の水として常に同じ場所に留まっているのではなく、太陽
のエネルギーによって海水や地表面の水が蒸発し、上空で雲になり、やがて雨や雪にな
って地表面に降り、それが次第に集まり川となって海に至るというように、絶えず循環
しています。地下水は、降った雨が地中に浸透し貯留されて存在し、地下水も同じよう
に循環しています。地下水がどのように供給され人間社会にかかわっているのか、東京
都内の場合を模式図で表します(図2)。降雨の一部は地表面を流れて川や海へ出て行
きますが、これを「表面流出」と呼びます。しかし、東京23 区内では都市化により、
道路舗装やビル等の建築物で水が浸透する土地が少ないため、下水道管を通じて川や海
に流れ込む直接流出が多いです。地表面から地下に浸透した水の一部は、直接蒸発また
は植物を通じて蒸散していくものがあり、これらを合わせて「蒸発散」と呼びます。表
面流出も蒸発散もせずに地下に浸透した水は、地下水となります。これを「地下水かん
養」と呼んでいます。地下水は、湧水となり河川へ流れ出ていく場合もありますが、ほ
とんどの地下水は地中に貯留され、長い年月をかけて移動していきます。
地
下
構
造
物
へ
の
漏
洩
水 揚水
( 水道以外
) 漏水
上水道及び工業用水道
浄水場
下水処理場
自然水の流れ
工場
事務所
家庭
蒸発散
河 川
河
川
東
京
湾
地下水
湧水
直接流出
地表面(浸透域・不浸透域) 浸透揚水
( 水道事業用
)
降 雨
図2 水の供給模式図(東京都の場合)
2)
1-2 地形地質と賦存形態
(1)東京都の地形
東京都の地形は、西から東へ標高2千~数百mの山地、続いて、標高350 ~ 55m程度
の丘陵地、標高50 ~8m程度の台地(武蔵野台地)、標高約8m以下の低地(東京低地)
が分布します。東京低地には地盤沈下により海面以下となった、いわゆる“ゼロメート
ル地帯”と呼ばれている箇所が23区の面積(621km
2
)の約2割を占めています。
都内には多数の河川が流れ、最大河川は、山梨県の山地部(関東山地)を水源とする
多摩川であり、都内を東南方向に東京湾に向かって流れています。多摩川の伏流水(河